東雲天音の欠片(番外編)
約束とプロポーズ
アマネとウィルの想いが通じあって、二年経ち、ウィルはあることをアマネに告げようとした。
もうそろそろいいかと思ったので、決意を固めたのだが、何故かタイミングが無く、日々が過ぎていく。
しかし、問題はアマネの方にあるような気がしてならないとウィルは思った。
なんと言うか、避けられているような気分なのだ。そう、恋人になる前にキスをしてしまったあの後のアマネの行動と一致している。
「うーん」
「悩み事かい?聞こうか?」
「ああ。実は―ってうわぁぁぁぁ!何お前??何でいるんだよ!!」
ウィルの隣でにこやかに座っているのは、かつてアマネとウィルと対決した相手であり、ウィルにとっては恋のライバルと言えるだろう。
「君達に会いに来たんじゃないか。報告かねて」
当たり前の顔をして言うフランツに、ウィルはこめかみが痛くなる。
「……報告って?」
「実は結婚したからさ。ああ、式は挙げてないよ」
「へー、良かった―なぁぁぁぁぁ??ちょ、どういうことだ?!」
あまりにもサラッと告げられたので、ウィルは聞き流しそうになった。
「フランスで出会った女性でね。僕と同じ怪盗なんだけど、ミス・アマネと同じくらい冷静沈着だね。そこが気に入ったんだけど」
「………ふーん」
ウィルは苦笑いをしながら、フランツを見る。
「因みに、僕が心を盗まれちゃったんだよね」
どこか幸せそうな顔のフランツに、ウィルはそれ以上聞かないことにした。
「ミス・アマネが言ってたよね。いつか僕が幸せになったら、また会おうって。だから、来たんだ……因みに奥さんはフランスにいるけど。今度は一緒に来るね」
「……そうか」
「で?何か悩みがあるんだろう?もしかしてプロポーズで悩んでるとか?」
流石はアマネと渡り合える怪盗。何でもお見通しでウィルは頭を抱えたくなった。
「……しようとしてるが、避けられてるっぽい。俺が教師目指し初めてから余計」
「おや?探偵の助手は止めたのかい?」
「いつまでも不安定な職業でいられないだろ?勿論アマネが探偵続けてるから、助手も続けてる。けど、結婚するって決めたから、ちゃんと地に足つけないとな」
結婚するのならば、相手を支えられるだけのものがなければいけない。勿論、アマネは支えられるだけの関係をよしとしないだろうが。
「……それに、家族が増えたらって考えると、余計にな」
「………なるほど。どうやら彼女は、何か君に話せないことがあるのかもね」
「話せないこと?」
フランツの言葉に、ウィルは首を傾げる。
「彼女に聞いてみたら?後、逃げようとしたら腕の中に閉じ込めちゃうと良いよ。女性に話を聞いてもらうコツ」
「実践したんだな」
「うん」
恐らく奥さんとのやり取りで、フランツも色々あったのだろう。
「君は、何があっても彼女を受け入れることが出来る。だからね、頑張って」
「ありがとな。フランツ」
フランツに励まされ、ウィルはニッと笑った。初めてフランツに笑いかけたウィルに、フランツも笑った。
二人はこの時、本当の意味で友となったのだった。
もうそろそろいいかと思ったので、決意を固めたのだが、何故かタイミングが無く、日々が過ぎていく。
しかし、問題はアマネの方にあるような気がしてならないとウィルは思った。
なんと言うか、避けられているような気分なのだ。そう、恋人になる前にキスをしてしまったあの後のアマネの行動と一致している。
「うーん」
「悩み事かい?聞こうか?」
「ああ。実は―ってうわぁぁぁぁ!何お前??何でいるんだよ!!」
ウィルの隣でにこやかに座っているのは、かつてアマネとウィルと対決した相手であり、ウィルにとっては恋のライバルと言えるだろう。
「君達に会いに来たんじゃないか。報告かねて」
当たり前の顔をして言うフランツに、ウィルはこめかみが痛くなる。
「……報告って?」
「実は結婚したからさ。ああ、式は挙げてないよ」
「へー、良かった―なぁぁぁぁぁ??ちょ、どういうことだ?!」
あまりにもサラッと告げられたので、ウィルは聞き流しそうになった。
「フランスで出会った女性でね。僕と同じ怪盗なんだけど、ミス・アマネと同じくらい冷静沈着だね。そこが気に入ったんだけど」
「………ふーん」
ウィルは苦笑いをしながら、フランツを見る。
「因みに、僕が心を盗まれちゃったんだよね」
どこか幸せそうな顔のフランツに、ウィルはそれ以上聞かないことにした。
「ミス・アマネが言ってたよね。いつか僕が幸せになったら、また会おうって。だから、来たんだ……因みに奥さんはフランスにいるけど。今度は一緒に来るね」
「……そうか」
「で?何か悩みがあるんだろう?もしかしてプロポーズで悩んでるとか?」
流石はアマネと渡り合える怪盗。何でもお見通しでウィルは頭を抱えたくなった。
「……しようとしてるが、避けられてるっぽい。俺が教師目指し初めてから余計」
「おや?探偵の助手は止めたのかい?」
「いつまでも不安定な職業でいられないだろ?勿論アマネが探偵続けてるから、助手も続けてる。けど、結婚するって決めたから、ちゃんと地に足つけないとな」
結婚するのならば、相手を支えられるだけのものがなければいけない。勿論、アマネは支えられるだけの関係をよしとしないだろうが。
「……それに、家族が増えたらって考えると、余計にな」
「………なるほど。どうやら彼女は、何か君に話せないことがあるのかもね」
「話せないこと?」
フランツの言葉に、ウィルは首を傾げる。
「彼女に聞いてみたら?後、逃げようとしたら腕の中に閉じ込めちゃうと良いよ。女性に話を聞いてもらうコツ」
「実践したんだな」
「うん」
恐らく奥さんとのやり取りで、フランツも色々あったのだろう。
「君は、何があっても彼女を受け入れることが出来る。だからね、頑張って」
「ありがとな。フランツ」
フランツに励まされ、ウィルはニッと笑った。初めてフランツに笑いかけたウィルに、フランツも笑った。
二人はこの時、本当の意味で友となったのだった。