君がいなくなったって【短編】
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軽くなったついでに、さっさと会ってしまおう。そう思ってしまうあたりが私が少女マンガのヒロインみたいになれない理由なんじゃないか。
ヒロの高校の近くにある公園のベンチに座りながら、そんなことを考えた。
こういう時、悩みに悩んだ末に会いに行こうとして怖気づいて、親友が背中を押して、でも怖くてでも会いたくてでも怖くて(以下略)、みたいなアレコレがあるからドラマチックになるのに。
「どこか淡白なんだよなぁ」
ボーっと空を見ながら、ヒロとのこれまでを思い出してみる。
ヒロと出会ったのは小学校。
奇跡的に6年間ずっと一緒のクラスで、1番の友達みたいな存在だった。
だけど、中学に上がって初めてクラスが別れた。
お互いに新しい友達ができて、会うことが少なくなって、それが寂しくてヒロのクラスを覗きに行った時。
女の子達と笑顔で話すヒロが、遠くなったように見えて、心臓がツキンと痛んだ。
その気持ちがなんなのか、わからないまま二年生になって、同じクラスになって、ヒロから告白された。
告白された瞬間に、あ、この気持ちは恋なのか、と気づいた。リコにこのことを言ったら「ナナミ鈍すぎ!気づくの遅すぎ!」ってバカにされたけど。