二度とない、もう一度。




初めて週三回の塾をすべてサボってしまった。


中間テストの報告もしてない…。





ベッドで鳴るはずのない携帯を握りしめていると


ピンポーン


家のチャイムが鳴った。





「…誰だろう」




インターホンを覗くと

ーーーーーー湯川先生がいた。





「おい、いるんだろ。開けろよ」

「な、なんで先生が…」

「心配だから来てんのになんだよそれ」




心配ーーーー?


私のことが…?




だめ、まただ。


また私は勘違いをして。




「陽菜!」



せ、先生…?




「お前、なんなんだよ!」




初めて聞く先生の怒鳴り声。




「お前はいつも一生懸命で…なのになんなんだよ!適当なこと…すんな!」




なによ。



なによなによなによ。




先生に、先生に………





「先生に何がわかるの!?」




玄関のドアを思い切り開けて叫んだ。


溢れて止まらない涙なんてもう知らない。





「陽菜………?」




先生の笑う顔が、

先生の優しい声が、

先生の温かい手のひらが、



全部が。





「好きなの…っ」




だから他の子にそんなの見せないでよ。



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