二度とない、もう一度。
視界から湯川先生が消えて、
気がついた時には玄関の扉は締まり、
おいかぶさるかたちで倒れ込んでいた。
「せんーーーーーっ」
先生、そう言いかけた私の言葉を
先生の唇が塞いだ
何が起こっているのかわからない。
ねえ、先生ーーーーー
なんでーーーーー
一度離れた唇は何度も何度も重なる。
「ん…ふっ…ぁ…」
息が苦しいーーーー
先生の匂い…
すごく優しい匂い…
「ごめん…」
なんで
どうして
聞きたいことはたくさんあるのに
うまく言葉は出てこない
「ごめん陽菜…」
苦しそうな顔で離れていく先生を
追いかけることは出来なかった。
だけど、一度触れた唇は先生の熱が残っていて。
ずっとずっとずっと…
こうしたかった。
その場の感情だとしても、それでも
私は今この瞬間、初めてただの生徒ではなくなったのだから。