二度とない、もう一度。
2
初夏、恋路。
「あっぢぃ〜」
「遥斗、ほらお水買ってきたよ」
「サンキュー」
「陽菜!私も!」
真奈美と遥斗に購買で買ってきたお水を渡すと二人とも一気に飲み干した。
「もう少しゆっくり飲みなよ〜」
「暑いんだよ」
七月入ったばかりだというのに
とんでもない暑さがここ数日続いている。
「もうそろ屋上で食べるのも厳しいな」
遥斗の言葉に少し寂しくなった。
屋上でご飯を食べて、空を見上げながら三人でお昼寝するこの時間が一日の中で一番幸せだから。
「陽菜お前また痩せただろ」
「えっ、そうかな?」
「毎年夏になると痩せんだよなあ、お前。しっかり食えよ」
遥斗のこういうところは優しくてできる男だ。
「あ、そういえば………真奈美、城島先輩とどうなったの?」
待ってましたと言わんばかりに目を輝かせている。
「えへへ……ライン交換して毎日ラインとか電話とかしてるの!!」
「ええ?!急展開だね…」
「傘効果ってやつ!」
そんな効果聞いたこともない。
幸せそうに笑っている真奈美が、少し羨ましい。
「やっぱり恋愛は王道を行かないとね〜!」
「王道…」
「陽菜もそろそろ恋しないと!」
私と先生の関係にはセフレという名前がある。
なのにどうして。
名前のない関係の真奈美と城島先輩のほうが
よっぽと幸せのレールを走っているんだろう。