キミのイロ
アナタのイロ
クロのイロ
「黒瀬夏樹(くろせなつき)です。
先月からこっちに引っ越してきました。
よろしくお願いします。」
人懐っこそうな笑顔を浮かべて、
ドス黒い男、もとい、黒瀬は照れくさそうにそう言った。彼は親の都合でこちらに引っ越してきたらしい。
「じゃあ、黒瀬くんの席はそこね」
担任はそう言って、私の斜め後ろの席を指差した。
「隣は学級代表の田中さんだから、わからないことがあったら、田中さんに聞いてね。」
「わかりました。」
そう言って、彼は私の隣の通路を歩いていった。
「よろしくね、田中さん。」
「あ、うん!よろしく!」
学級代表の田中さんは顔を赤らめながら、彼に、何でも聞いてね、と言っていた。
そこで、ショートホームルーム終了の鐘がなった。