キミのイロ
「夏樹君って呼んでもいい??」
「いいよ」
「どこから来たの~??」
「隣町だよ」
チャイムがなると同時に、黒瀬夏樹の席には人だかりができた。
さまざまな問いかけに、爽やかな嫌な顔一つせずにこにこと答えた。
私も、黒瀬夏樹が気になって仕方がなかったから、じっと黒瀬の方を見ていた。
何度見ても、黒いナニカが黒瀬を取り巻いている。
コレが黒瀬のイロ、なのだろうか。
(クロなんて見たことない...)
以前、近くで強盗があった時、私はその現場に居合わせていて、その犯人を見たけれどクロではなかった。多少色あせてはいるものの、完璧なクロではなかったのだ。
どちらかというとグレーがかった感じだった。
(だから、私はクロなんてイロはない、と勝手に思っていたのだが...)