王子様は重症です!
世界で一番
「鏡よ鏡よ鏡さん。この世界で一番美しいのは誰?」

「はい、それは―」

「僕だろ?僕だよな?僕だといえコラ!」

見目麗しい王子様は、鏡に顔を張り付けながら尋ねます。

「いいえ、王子様じゃないのは確かです!」

しかし、鏡は真実を写すため、正直者でした。

「僕だと言うまで張り付くからな!!密着二十四時間になってもしらないからな!!」

「王子が何と言おうが、世界で一番美しい訳ありません。諦めてください。この変態ナルシスト」

鏡はちょっと毒舌でした。

「てんめぇぇぇぇ!王子様愚弄するとは何事だ!!」

「てか、貴方王子ですから『美しい』って言葉よりも格好いいの方が嬉しくないですか?」

鏡の言葉に、王子様はふっと髪をかきあげます。鬱陶しいですね。

「僕が格好いいのは当然だろ!そのかっこよさの先にあるのが美しさだ!」

「じゃあいっそ、女装して悪の女王にでもなったらどうですか?」

鏡の意見に、王子様は考え込みます。

「……なるほど。その手があったか」

王子様はちょっとアホでした。
< 1 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop