王子様は重症です!
「うっ………ぐっ………」

すると、白雪姫は喉を押さえて苦しみます。

「ふはははっ!騙されたな馬鹿め!それは毒リンゴだったのだ!ま、毒というか、賞味期限切れてるだけの不味いリンゴだが。これは僕をないがしろにした報いだな」

いえ、喉にリンゴ詰まって苦しいんですよ?

「………無念」

白雪姫はパタリと倒れました。

「残るは白雪姫だけだ!」

その人が白雪姫だと、王子様は知りません。

「王子、その人が白雪姫ですよ?今倒れちゃったので、世界一美しい人変わりましたけど」

突然鏡がやってきて、そう言いました。

「何?これが白雪姫?どこが世界一美しいんだよ。で、白雪姫がいなくなったってことは、今度こそ僕が世界一だな?」

「いえ、今はとあるイギリスの女探偵ですね」

「おいこら、どういうことだ?!何で童話に関係ない別作品の奴がランクインしてるんだ?!」

ガッと鏡をわしづかみにする王子様に、鏡は続けます。

「王子。世界一の美しさなどに何の意味がありますか?百人が百人この人が美人なんて思うのはごく稀です。何故なら、人の好みは人それぞれですから。誰かに価値を決めて貰わなくても、王子は王子らしくいれば良いんです」

元々特別なオンリーなんとかというやつですね。

「…………鏡」

王子様は俯いて、そして鏡をまたガッと掴みます。

「最終回近いからって、まともそうなこと言うなよ!!世の中所詮顔なんだよ!!」

最低ですね。……ところで、白雪姫をほっといたままで良いんでしょうか?
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