ドS上司の意外な一面
act:意外な展開
次の日、部署へたどり着くのに、えらく時間がかかってしまった。
昨日あの鎌田を引きずり回し、きっと押し倒して凄いことをしたであろう女子社員! というワケの分からないレッテルを勝手にはりつけられた挙句に、同期やらいろんな人に質問攻めにあった。
「視野を広げなさいって、こういうことだったんだ……」
――今更ながら痛感。
みんなに何でもないことを言っても、なかなか信じてもらえなかった。だけどあの鎌田だから何もなく終わったんだろうと皆さん勝手に完結してくれた。これも普段の鎌田先輩の人徳なんだろう。
仕事がたまってるって宣告されているのに、いつもより出遅れて部署に入ると鎌田先輩は既に仕事モード全開だった。
「おはようございますぅ……」
ドキドキしながら挨拶する。
「おはようございます。コピーする書類を、デスクの上にまとめておきました。枚数も書いてあるので、今すぐにお願いします!」
テキパキと指示を出して電話をかけながらパソコンと格闘している鎌田先輩に、思わず見とれてしまった。
「……おはよう!」
後方からの声で、ハッと我に返る。
「あ、小野寺先輩、おはようございます……」
「山本さんってば、朝から噂の的だね」
コソッと話しかけてきた。
「ちょっと急ぎの用事があって、付き合ってもらっただけなんです」
忙しそうな素振りをして、デスクの上の書類をてきぱきと整理しつつ答えてみた。
「すみません、急ぎの仕事があるので失礼します」
そう言って、小野寺先輩のお喋りを切り抜けることに成功した。やれやれ――
昨日あの鎌田を引きずり回し、きっと押し倒して凄いことをしたであろう女子社員! というワケの分からないレッテルを勝手にはりつけられた挙句に、同期やらいろんな人に質問攻めにあった。
「視野を広げなさいって、こういうことだったんだ……」
――今更ながら痛感。
みんなに何でもないことを言っても、なかなか信じてもらえなかった。だけどあの鎌田だから何もなく終わったんだろうと皆さん勝手に完結してくれた。これも普段の鎌田先輩の人徳なんだろう。
仕事がたまってるって宣告されているのに、いつもより出遅れて部署に入ると鎌田先輩は既に仕事モード全開だった。
「おはようございますぅ……」
ドキドキしながら挨拶する。
「おはようございます。コピーする書類を、デスクの上にまとめておきました。枚数も書いてあるので、今すぐにお願いします!」
テキパキと指示を出して電話をかけながらパソコンと格闘している鎌田先輩に、思わず見とれてしまった。
「……おはよう!」
後方からの声で、ハッと我に返る。
「あ、小野寺先輩、おはようございます……」
「山本さんってば、朝から噂の的だね」
コソッと話しかけてきた。
「ちょっと急ぎの用事があって、付き合ってもらっただけなんです」
忙しそうな素振りをして、デスクの上の書類をてきぱきと整理しつつ答えてみた。
「すみません、急ぎの仕事があるので失礼します」
そう言って、小野寺先輩のお喋りを切り抜けることに成功した。やれやれ――