ドS上司の意外な一面
act:意外な展開(鎌田目線2)
***
彼女がお茶の用意をしに会議室に行ったのを見計らって、そっとため息をつく。お陰で、少しだけ緊張が取れた。完全に取れないのは、目の前にいる小野寺のせいだ。隙あらばと言わんばかりの態度が、ますます俺をイライラさせるから。
――余裕な態度や、自分を馬鹿にした対応が堪らない……。
「鎌田先輩がどこまで守りきれるか、すっげぇ見ものだなぁ!」
ポツリと呟く、小野寺の声が耳に聞こえてきた。
「鎌田先輩と彼女の間にはファイルの壁やパソコンの壁があるけど、俺の隣には何もないもんね」
「……何が言いたいんです?」
「仕事上の立場ですけど、鎌田先輩と彼女は完全に上司と部下の間柄。俺と彼女は、ただの先輩後輩の仲。どっちが仲良くなりやすいかなぁという話です」
「…………」
「しかも見た目は草食系を気取っているけど、本当の中身は獰猛な肉食のくせに」
意味深な含み笑いをし、じっと俺の顔を見る。
「(隣で眠っているあどけない君の顔 愛しくてその肌にキスを落とす)だったかなぁ?」
「やはり、お前だったのか――」
「まだそんな関係じゃないのに、妄想だけでよくアレが書けたもんですね、さすがは鎌田先輩。何でもできる人は、羨ましいを通り越して本当に妬ましくなります」
怒りが頂点に達しそうだったので、ぎりっと奥歯を噛み締めながら席を立つ。
こんなくだらない挑発に乗っている場合じゃない。大事な会議がこれから行われる予定なんだ、早く冷静にならなければ――
「あれぇ、もう逃げるんですか?」
後ろから、声を投げかけられる。
「自分は逃げも隠れもしません、受けて立ちます」
吐き捨てるように言って、必死に苛立ちを隠しながら部署を出た。
彼女がお茶の用意をしに会議室に行ったのを見計らって、そっとため息をつく。お陰で、少しだけ緊張が取れた。完全に取れないのは、目の前にいる小野寺のせいだ。隙あらばと言わんばかりの態度が、ますます俺をイライラさせるから。
――余裕な態度や、自分を馬鹿にした対応が堪らない……。
「鎌田先輩がどこまで守りきれるか、すっげぇ見ものだなぁ!」
ポツリと呟く、小野寺の声が耳に聞こえてきた。
「鎌田先輩と彼女の間にはファイルの壁やパソコンの壁があるけど、俺の隣には何もないもんね」
「……何が言いたいんです?」
「仕事上の立場ですけど、鎌田先輩と彼女は完全に上司と部下の間柄。俺と彼女は、ただの先輩後輩の仲。どっちが仲良くなりやすいかなぁという話です」
「…………」
「しかも見た目は草食系を気取っているけど、本当の中身は獰猛な肉食のくせに」
意味深な含み笑いをし、じっと俺の顔を見る。
「(隣で眠っているあどけない君の顔 愛しくてその肌にキスを落とす)だったかなぁ?」
「やはり、お前だったのか――」
「まだそんな関係じゃないのに、妄想だけでよくアレが書けたもんですね、さすがは鎌田先輩。何でもできる人は、羨ましいを通り越して本当に妬ましくなります」
怒りが頂点に達しそうだったので、ぎりっと奥歯を噛み締めながら席を立つ。
こんなくだらない挑発に乗っている場合じゃない。大事な会議がこれから行われる予定なんだ、早く冷静にならなければ――
「あれぇ、もう逃げるんですか?」
後ろから、声を投げかけられる。
「自分は逃げも隠れもしません、受けて立ちます」
吐き捨てるように言って、必死に苛立ちを隠しながら部署を出た。