ドS上司の意外な一面
act:意外な展開(鎌田目線3)
***
明後日の会議に向けての重要な話し合い。気合は十分だった――どんな厄介な質問をされてもいいように、しっかりとシュミレーションもしている。
しかしそれよりも厄介なのは、君の隣になぜか小野寺がいることだった。
あからさまにしてやったりな顔のアイツを、苛立ちを隠しながら眺めた。後方に行けば行くほど、視野が展開される。何かあれば、すぐに分かるだろう。
気遣いながら会議を進めていったら案の定、泣き出しそうな君の視線とぶつかった。持っていたマジックを、思わず握り潰しそうになる。
「どうしたんだね鎌田君? そのまま続けて下さい」
彼女の異変に固まってしまった俺を何とかしようと、課長が静かに声をかけてきた。
目を閉じて深呼吸を二、三度してからきっちりと気持ちを入れ替えて再びボードに向かい、何事もなかったように書き込みをするしかない。
自分の立ち位置がこんなにもどかしく思えたのは、これが初めてだった。
頭に浮かぶのは君の泣き出しそうな顔ばかり……何もできない自分が、無性に悔しくて堪らなかった。
俺と彼女の距離は、月と太陽そのものなのだろうか――
明後日の会議に向けての重要な話し合い。気合は十分だった――どんな厄介な質問をされてもいいように、しっかりとシュミレーションもしている。
しかしそれよりも厄介なのは、君の隣になぜか小野寺がいることだった。
あからさまにしてやったりな顔のアイツを、苛立ちを隠しながら眺めた。後方に行けば行くほど、視野が展開される。何かあれば、すぐに分かるだろう。
気遣いながら会議を進めていったら案の定、泣き出しそうな君の視線とぶつかった。持っていたマジックを、思わず握り潰しそうになる。
「どうしたんだね鎌田君? そのまま続けて下さい」
彼女の異変に固まってしまった俺を何とかしようと、課長が静かに声をかけてきた。
目を閉じて深呼吸を二、三度してからきっちりと気持ちを入れ替えて再びボードに向かい、何事もなかったように書き込みをするしかない。
自分の立ち位置がこんなにもどかしく思えたのは、これが初めてだった。
頭に浮かぶのは君の泣き出しそうな顔ばかり……何もできない自分が、無性に悔しくて堪らなかった。
俺と彼女の距離は、月と太陽そのものなのだろうか――