ドS上司の意外な一面
act:意外な展開(鎌田目線4)
***
長い(それは長い長い)会議が終了した。
君があの後、普通に小野寺と会話をしていたのが、どうしても気になった。
(一体、何があったというのだろうか――)
人ごみに押されながら、必死になって小さな君を捜す。
「あのっ、この後お茶の片付けをしなきゃならないんですけど」
「それよりも大事な話があるんだ。ほら、一緒に来て!」
そんな会話が耳に聞こえてきた。振り返ると、少しだけ離れたところにいた小野寺とばっちり目が合う。ニヤリと、いやらしそうに笑っているじゃないか。
人ごみに逆行して君をどこかに連れ出そうとしている背中を、何とか追いかけようとしたら。
「鎌田君、大丈夫かい? 顔色が真っ白だか……」
唐突に、課長が声をかけてきた。
「……仕事の疲れが、多少溜まっているだけです。大丈夫です、ご心配していただきありがとうございます」
「そうか、無理は禁物だから。明後日、期待しているよ」
肩を叩かれ、体がグラッとしそうになるのを何とか堪える。
人ごみをやり過ごしながら遠くを見たら、二人が資料室の方へ向かっているのが見えた。
貧血になるほどの怒りが、体を駆け巡っているのを抑えるのに必死だった。
長い(それは長い長い)会議が終了した。
君があの後、普通に小野寺と会話をしていたのが、どうしても気になった。
(一体、何があったというのだろうか――)
人ごみに押されながら、必死になって小さな君を捜す。
「あのっ、この後お茶の片付けをしなきゃならないんですけど」
「それよりも大事な話があるんだ。ほら、一緒に来て!」
そんな会話が耳に聞こえてきた。振り返ると、少しだけ離れたところにいた小野寺とばっちり目が合う。ニヤリと、いやらしそうに笑っているじゃないか。
人ごみに逆行して君をどこかに連れ出そうとしている背中を、何とか追いかけようとしたら。
「鎌田君、大丈夫かい? 顔色が真っ白だか……」
唐突に、課長が声をかけてきた。
「……仕事の疲れが、多少溜まっているだけです。大丈夫です、ご心配していただきありがとうございます」
「そうか、無理は禁物だから。明後日、期待しているよ」
肩を叩かれ、体がグラッとしそうになるのを何とか堪える。
人ごみをやり過ごしながら遠くを見たら、二人が資料室の方へ向かっているのが見えた。
貧血になるほどの怒りが、体を駆け巡っているのを抑えるのに必死だった。