ドS上司の意外な一面
***
俺は頭痛と胸のムカつきのダブルパンチがききまくって、顔を歪めながら目が覚めた。左手で額を押さえながら、頭上にある時計に目をやる。
「午前十時か……」
昨夜呑み始めたのが午後七時半、帰宅したのは何時だっただろうか?
居酒屋で顔を突き合わせた男三人が、ビールで乾杯したのは覚えている。その後日本酒に切り替えたのだが、けん坊に勧められてまたビールを呑み、今度は今川部長に合わせてサワーを呑んで。
「それから、どうしたんだっけ? 記憶が曖昧――」
確か仕事の話はした。課長になってからの苦労や役職について、今川部長の話も聞いた気がする。家族の話やネコの話もしたと思う、何となく。このときにけん坊がやけに絡んできてお酒を注ぎまくり、俺や今川部長を呑ませたっけな。
「そこから思い出せません。俺はどうやって帰って来たんでしょう」
うんうん唸っていると、寝室にひとみがやって来た。
「おはようございます、体調は大丈夫ですか?」
「おはよう、最悪です。何も思い出せなくて、震え上がってるところですよ」
苦笑いしてる俺に、湯飲みを手渡してくれた。
「梅干し入りの番茶です、飲むと落ち着きますから。どうぞ」
優しく微笑む君を見ながら、一口飲んでみる。
「はー、ホントに落ち着きますね。体に染み込む気がします。有り難う」
「いえいえ、お口に合って良かったです」
「昨夜の俺は、君に迷惑かけませんでしたか?」
思いきって訊ねてみた。記憶のない自分の行動を実際知るのはコワいけれど、聞かずにはいられない。
「昨日の正仁さん、すごく酔ってました。口調も、今みたいじゃなかったですし。迷惑かけられた感じは、あまりしなかったんですけど」
「……」
「とりあえず、コレ見て下さい」
君は自分のスマホを取り出して、いそいそとメール画面を見せてきた。
「何ですかコレ、下さいが管で終了している」
俺自身が打ったであろうメールなのだが、ほとほと呆れ果てた。
「正仁さんから初めてハートの絵文字のメールをもらってすっごく嬉しかったのに、残念な文面ですよねぇ」
「その残念な文面を何故、保護しているんですか?」
白い目で君を見るしかない。俺としては抹消してほしいのに。
「だって初めてメールに、ピカピカのハートマークを入れてくれた文章なんですよ。残念なものでも、とっておきたいんです」
鼻息を荒くして力説する様子を見るだけで、余計に頭痛が増す。メールの文面だけで、分かりすぎる程に壊れている自分。リアルでは、どれだけのことをやらかしているのだろうか。
「とにかくこれ、削除して下さい」
「えーっ、もったいない」
「終わったことをとやかく言っても仕方ないのは重々承知してるんですけど、俺の名誉を守るためだと思って削除して下さい。これから君に送るメールに、ハートだの絵文字や顔文字を付けますから」
「そこまで言うんなら、しょうがないですね。きちんと約束を守って下さいよぅ」
渋々という表情を浮かべて何度も念をおしてから、目の前で残念なメールをきちんと削除してもらった。
「はーっ、しばらく酒は控えないといけないですね」
昨日、楽しかったからって弾けすぎた。よく自力で帰ってこられたな。
「正仁さん、もう一つ見てほしいのがあるんです」
顔を引きつらせながら、君の顔を仰ぎ見る。自分のスマホを枕元に置き、俺のスマホをサクサク弄って手渡してきた。
「ご自分で再生してご覧下さい」
ゴクリと喉を鳴らして携帯を手にした。一体、何を撮ったのだろうか?
覚悟を決めて、再生ボタンを押したのだが――そこに展開された内容は、俺を奈落の底に突き落とす程の破壊力があった。
「俺はこの店で、何をやらかしたのだろうか」
「正仁さん、今川部長のことをマット部長とか言っちゃってますよね。これはかなりヤバいかも」
「……ヤバいですね」
「この場面、抱きつかれてとても嬉しそうにしてますけど、実際どうだったんですか?」
「何故それを聞くんです、拷問ですか?」
「いえいえ、そんなつもりサラサラないですよ。昨晩これ見よがしに首元に付けたキスマークを自慢していたのは、正仁さん本人ですからね。さぞかし嬉しかったのかなぁと」
これ見よがしにって、記憶が全然ありません。
ため息をついて、動画を最後まで見る。
今川部長は俺の首に両腕を絡ませて抱きつくと、首元に顔を寄せてきてイチャイチャしまくり――そんな俺たちを見て周りが拍手しているところに、二人で仲良くポーズをとって動画終了。
「悪夢です」
二人してかなり酔ってるとはいえ、これはヤバいです。
「正仁さん、どうしてこの動画を撮ったのか覚えてますか?」
「こんなヤバいモノを、残しておく理由が思い付きません」
考えるだけで、頭痛がイタいです。
「私に嫉妬してほしくて、キスマークを付けて帰って来たんです。その無実を証明するのに、携帯で動画撮影したんですよ多分」
「はい?」
「もっと妬いてくれると思ったのに残念って、耳元で囁いたのは正仁さんです」
「何てバカなことを……」
「あと四日前の抱きつき事件で、お前に助けて欲しかったと言ってました」
「はぁ!? あの場合は、俺が拒否れば問題のないことです。君が乱入したら相手の女性がムキになり、余計ややこしくなりますから」
酔ってる俺は、何を口走っているのやら。
「正仁さんってば逃げるな、俺にはお前が必要なんだから助けろって言ってましたよ」
「逃げたんですか?」
「酔ってる正仁さんから逃げました。全裸で待機しろって、ワケの分からないことを言うし」
ああもう、消えてなくなりたい。
「酔ってるとはいえ、君に不快な思いをさせてしまって申し訳ない……」
「ううん、逆に良かったです。何か本音を覗けたみたいで。素直な正仁さん、可愛かったです」
「酔っ払いが可愛いなんて、君らしい表現ですね」
フラフラしながら、君を追いかけてるトコを想像するだけでもオソロシイ。
「全裸で待機なぁんて言ってたのに、頭を撫でたら顔を真っ赤にして、逃げちゃったんですよ」
そう言うと柔らかく微笑みながら、俺の頭を優しく撫でる君。その手の平から伝わる優しくて温かいぬくもりにきっと、キバが折られたのだろうと簡単に推測した。
「お茶よりも、君の方が数倍和みます」
「そうですか?」
嬉しそうにしている君の顔を見て、また心がほっとする。
俺の頭を撫でている右手を取り、ぐいっと引き寄せた。そのまま胸元に飛び込んでくる体を、ぎゅっと抱き締めてみる。どこまでも柔らかくて温かい、君のぬくもりに幸せをじわりと感じます。
「せっかくの連休、君はどう過ごしたいですか?」
「正仁さんが、ゆっくりと休めればなぁって思ってます」
「俺の隣で君が笑っていてくれれば、それだけで休まりますよ」
額にそっと唇を寄せたら、くすぐったそうに顔を歪ませる。どんな表情でも見とれて、目が離せません。
「あ、あの~お腹すいてませんか? 消化がいい物でも作りますよ」
まくし立てるように告げる理由は何でしょうか。顔が真っ赤になってますが? 夫としてここは、期待に答えないとダメですよね。
「君で満たされたいと言ったら、どうします?」
「断ります。昼間だし明るいしその、えっと」
「昨日何もせずに寝たのが、残念だったんでしょ?」
君の顔を覗き込むと、顎を引いて目を泳がせる。分かりやすくて結構なことです。
「残念じゃないです、ゆっくり寝れて良かったです」
「いつも悶絶してから爆睡してるのに、昨夜は眠りが浅かったんじゃないんですか?」
「深く寝れました!」
「では今夜、オールで大丈夫ですね」
「何ですかその笑い。しかもオールって。正仁さん、ゆっくりしないとダメですよ。体が休まっていないんだから」
「ですからゆっくりとスルから、オールなんです」
俺が言うと、君の顔に敗北の二文字が浮かんでいた。
昨晩のやり取りの台詞を思い出してみると、どうやら君は俺に何か言って勝利したのではないかと考えついた。いつもより食って掛かってきているのが、その証拠。ヤられたら倍にして、丁重にお返しするのが俺流です。
「さて、まずは腹ごしらえしなければ」
「じっ、じゃあ私、何か作りますね」
そそくさと俺から離れようとした君の左手を強引に掴むと、強引に下半身の部分にあてがってみた。
「っ……朝からそんな」
「朝だから、ですよ」
俺は笑いながら簡単に君を押し倒した。
「頭を撫でて俺を可愛がる前に、俺自身を可愛がって下さい」
苦情を言われる前に、その口を優しく塞ぐ。
「俺が欲しかったんだろ?」
唇を離した瞬間言ってみると、君は驚いた顔をして俺をまじまじと見た。
「正仁さん、まだお酒が残ってるんですか?」
「残ってません、何となく言ってみただけです。昨晩の俺はこんな感じだったんですね」
「だけど、どっちの正仁さんも正仁さんですから。両方好きですよ」
柔らかく微笑みながら、俺の頬を両手で包み込む。
両方好き、ね。酔っ払って醜態晒しまくってる俺でもいいのだろうか? 何か今の言葉で、あっさりと敗北した気がします。
「君の手の平で、いいように遊ばれていたんでしょうね俺は。勝てないワケだ」
「何が?」
「惚れた弱味、君は無敵です」
ワケが分からないという顔をしてる君に、深く深く口付けた。
「正仁さん、一つ聞いてもいいですか?」
ひとしきり口付けた後、ポツリと呟く君。
俺は頭痛と胸のムカつきのダブルパンチがききまくって、顔を歪めながら目が覚めた。左手で額を押さえながら、頭上にある時計に目をやる。
「午前十時か……」
昨夜呑み始めたのが午後七時半、帰宅したのは何時だっただろうか?
居酒屋で顔を突き合わせた男三人が、ビールで乾杯したのは覚えている。その後日本酒に切り替えたのだが、けん坊に勧められてまたビールを呑み、今度は今川部長に合わせてサワーを呑んで。
「それから、どうしたんだっけ? 記憶が曖昧――」
確か仕事の話はした。課長になってからの苦労や役職について、今川部長の話も聞いた気がする。家族の話やネコの話もしたと思う、何となく。このときにけん坊がやけに絡んできてお酒を注ぎまくり、俺や今川部長を呑ませたっけな。
「そこから思い出せません。俺はどうやって帰って来たんでしょう」
うんうん唸っていると、寝室にひとみがやって来た。
「おはようございます、体調は大丈夫ですか?」
「おはよう、最悪です。何も思い出せなくて、震え上がってるところですよ」
苦笑いしてる俺に、湯飲みを手渡してくれた。
「梅干し入りの番茶です、飲むと落ち着きますから。どうぞ」
優しく微笑む君を見ながら、一口飲んでみる。
「はー、ホントに落ち着きますね。体に染み込む気がします。有り難う」
「いえいえ、お口に合って良かったです」
「昨夜の俺は、君に迷惑かけませんでしたか?」
思いきって訊ねてみた。記憶のない自分の行動を実際知るのはコワいけれど、聞かずにはいられない。
「昨日の正仁さん、すごく酔ってました。口調も、今みたいじゃなかったですし。迷惑かけられた感じは、あまりしなかったんですけど」
「……」
「とりあえず、コレ見て下さい」
君は自分のスマホを取り出して、いそいそとメール画面を見せてきた。
「何ですかコレ、下さいが管で終了している」
俺自身が打ったであろうメールなのだが、ほとほと呆れ果てた。
「正仁さんから初めてハートの絵文字のメールをもらってすっごく嬉しかったのに、残念な文面ですよねぇ」
「その残念な文面を何故、保護しているんですか?」
白い目で君を見るしかない。俺としては抹消してほしいのに。
「だって初めてメールに、ピカピカのハートマークを入れてくれた文章なんですよ。残念なものでも、とっておきたいんです」
鼻息を荒くして力説する様子を見るだけで、余計に頭痛が増す。メールの文面だけで、分かりすぎる程に壊れている自分。リアルでは、どれだけのことをやらかしているのだろうか。
「とにかくこれ、削除して下さい」
「えーっ、もったいない」
「終わったことをとやかく言っても仕方ないのは重々承知してるんですけど、俺の名誉を守るためだと思って削除して下さい。これから君に送るメールに、ハートだの絵文字や顔文字を付けますから」
「そこまで言うんなら、しょうがないですね。きちんと約束を守って下さいよぅ」
渋々という表情を浮かべて何度も念をおしてから、目の前で残念なメールをきちんと削除してもらった。
「はーっ、しばらく酒は控えないといけないですね」
昨日、楽しかったからって弾けすぎた。よく自力で帰ってこられたな。
「正仁さん、もう一つ見てほしいのがあるんです」
顔を引きつらせながら、君の顔を仰ぎ見る。自分のスマホを枕元に置き、俺のスマホをサクサク弄って手渡してきた。
「ご自分で再生してご覧下さい」
ゴクリと喉を鳴らして携帯を手にした。一体、何を撮ったのだろうか?
覚悟を決めて、再生ボタンを押したのだが――そこに展開された内容は、俺を奈落の底に突き落とす程の破壊力があった。
「俺はこの店で、何をやらかしたのだろうか」
「正仁さん、今川部長のことをマット部長とか言っちゃってますよね。これはかなりヤバいかも」
「……ヤバいですね」
「この場面、抱きつかれてとても嬉しそうにしてますけど、実際どうだったんですか?」
「何故それを聞くんです、拷問ですか?」
「いえいえ、そんなつもりサラサラないですよ。昨晩これ見よがしに首元に付けたキスマークを自慢していたのは、正仁さん本人ですからね。さぞかし嬉しかったのかなぁと」
これ見よがしにって、記憶が全然ありません。
ため息をついて、動画を最後まで見る。
今川部長は俺の首に両腕を絡ませて抱きつくと、首元に顔を寄せてきてイチャイチャしまくり――そんな俺たちを見て周りが拍手しているところに、二人で仲良くポーズをとって動画終了。
「悪夢です」
二人してかなり酔ってるとはいえ、これはヤバいです。
「正仁さん、どうしてこの動画を撮ったのか覚えてますか?」
「こんなヤバいモノを、残しておく理由が思い付きません」
考えるだけで、頭痛がイタいです。
「私に嫉妬してほしくて、キスマークを付けて帰って来たんです。その無実を証明するのに、携帯で動画撮影したんですよ多分」
「はい?」
「もっと妬いてくれると思ったのに残念って、耳元で囁いたのは正仁さんです」
「何てバカなことを……」
「あと四日前の抱きつき事件で、お前に助けて欲しかったと言ってました」
「はぁ!? あの場合は、俺が拒否れば問題のないことです。君が乱入したら相手の女性がムキになり、余計ややこしくなりますから」
酔ってる俺は、何を口走っているのやら。
「正仁さんってば逃げるな、俺にはお前が必要なんだから助けろって言ってましたよ」
「逃げたんですか?」
「酔ってる正仁さんから逃げました。全裸で待機しろって、ワケの分からないことを言うし」
ああもう、消えてなくなりたい。
「酔ってるとはいえ、君に不快な思いをさせてしまって申し訳ない……」
「ううん、逆に良かったです。何か本音を覗けたみたいで。素直な正仁さん、可愛かったです」
「酔っ払いが可愛いなんて、君らしい表現ですね」
フラフラしながら、君を追いかけてるトコを想像するだけでもオソロシイ。
「全裸で待機なぁんて言ってたのに、頭を撫でたら顔を真っ赤にして、逃げちゃったんですよ」
そう言うと柔らかく微笑みながら、俺の頭を優しく撫でる君。その手の平から伝わる優しくて温かいぬくもりにきっと、キバが折られたのだろうと簡単に推測した。
「お茶よりも、君の方が数倍和みます」
「そうですか?」
嬉しそうにしている君の顔を見て、また心がほっとする。
俺の頭を撫でている右手を取り、ぐいっと引き寄せた。そのまま胸元に飛び込んでくる体を、ぎゅっと抱き締めてみる。どこまでも柔らかくて温かい、君のぬくもりに幸せをじわりと感じます。
「せっかくの連休、君はどう過ごしたいですか?」
「正仁さんが、ゆっくりと休めればなぁって思ってます」
「俺の隣で君が笑っていてくれれば、それだけで休まりますよ」
額にそっと唇を寄せたら、くすぐったそうに顔を歪ませる。どんな表情でも見とれて、目が離せません。
「あ、あの~お腹すいてませんか? 消化がいい物でも作りますよ」
まくし立てるように告げる理由は何でしょうか。顔が真っ赤になってますが? 夫としてここは、期待に答えないとダメですよね。
「君で満たされたいと言ったら、どうします?」
「断ります。昼間だし明るいしその、えっと」
「昨日何もせずに寝たのが、残念だったんでしょ?」
君の顔を覗き込むと、顎を引いて目を泳がせる。分かりやすくて結構なことです。
「残念じゃないです、ゆっくり寝れて良かったです」
「いつも悶絶してから爆睡してるのに、昨夜は眠りが浅かったんじゃないんですか?」
「深く寝れました!」
「では今夜、オールで大丈夫ですね」
「何ですかその笑い。しかもオールって。正仁さん、ゆっくりしないとダメですよ。体が休まっていないんだから」
「ですからゆっくりとスルから、オールなんです」
俺が言うと、君の顔に敗北の二文字が浮かんでいた。
昨晩のやり取りの台詞を思い出してみると、どうやら君は俺に何か言って勝利したのではないかと考えついた。いつもより食って掛かってきているのが、その証拠。ヤられたら倍にして、丁重にお返しするのが俺流です。
「さて、まずは腹ごしらえしなければ」
「じっ、じゃあ私、何か作りますね」
そそくさと俺から離れようとした君の左手を強引に掴むと、強引に下半身の部分にあてがってみた。
「っ……朝からそんな」
「朝だから、ですよ」
俺は笑いながら簡単に君を押し倒した。
「頭を撫でて俺を可愛がる前に、俺自身を可愛がって下さい」
苦情を言われる前に、その口を優しく塞ぐ。
「俺が欲しかったんだろ?」
唇を離した瞬間言ってみると、君は驚いた顔をして俺をまじまじと見た。
「正仁さん、まだお酒が残ってるんですか?」
「残ってません、何となく言ってみただけです。昨晩の俺はこんな感じだったんですね」
「だけど、どっちの正仁さんも正仁さんですから。両方好きですよ」
柔らかく微笑みながら、俺の頬を両手で包み込む。
両方好き、ね。酔っ払って醜態晒しまくってる俺でもいいのだろうか? 何か今の言葉で、あっさりと敗北した気がします。
「君の手の平で、いいように遊ばれていたんでしょうね俺は。勝てないワケだ」
「何が?」
「惚れた弱味、君は無敵です」
ワケが分からないという顔をしてる君に、深く深く口付けた。
「正仁さん、一つ聞いてもいいですか?」
ひとしきり口付けた後、ポツリと呟く君。