嘆きの断片
──翌朝
二人は要請した人物に会うため、近くの神社を訪れた。
鳥居の前で一度、会釈したラクベスに倣(なら)いパーシヴァルも慌ててぎこちない会釈をする。
そうして真ん中を避けて鳥居をくぐり、それほど大きくはないが何かしら神聖なエネルギーが宿っているように感じられる境内を見渡した。
「日本には来たことあるのか?」
「今回で二度目です」
ラクベスには、例え訪れる機会は少なくとも日本をよく知らなければならない理由がある。日本というより、日本の神霊をと言った方がいいかもしれない。
ラクベスは少し待っていてもらえないかとパーシヴァルに告げ、手水舎(ちょうずや)で手と口を清めて拝殿にある賽銭箱に小銭を落とし参拝する。
参拝の作法は神社によって異なるが、ここは基本的なものでいいらしい。
そうして、社務所に立ち寄り依頼主がいないかを尋ねる。