嘆きの断片
 説明を受けたが霊能力者とどう違うのか、具体的には解らなかった。

 それもそのはず。教えてくれた宮司自身、霊術士をまだ見た事がなかったのだ。

 それほどに、霊術士は強い秘匿性を持っている。

 霊能者では祓えない強力なものに対処する人たちだと聞いてはいても、実際に目にしたのはこれが初めてで今でも信じられない。

 世に知られず、それでいて彼らは世界を影から支えている。そんな話を、にわかに信じられる訳がない。

 要請すべきか悩んだけれど手に負えるものではないと感じ、その存在を懐疑(かいぎ)しながらも教わっていた番号にかけてみた。

 どういった経由でつながったのかは謎であるがしかし、こうして目の前に霊術士(れいじゅつし)と名乗る二人が現れた。

 詐欺まがいのものかもしれない──そんな警戒心も無駄であったと思えるほど、いま起こっている状況に目を見張る。

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