嘆きの断片
 すると、張り詰めていた空気がふいに和らぎ、ラクベスが溜息を吐いた。

「どうでした」

「だめですね。得体の知れない存在だというだけで、正体までは解らないそうです」

「そうですか」

 土地神が萎縮するほどのものとはなんだろうか。宮司はそら恐ろしくなった。

「大丈夫でしょうか」

 ここは霊的な避難所でもある。もし、何かあったとき、人々の拠り所とならなければならない。その拠り所がなくなりはしないだろうかと、宮司は心配になった。

「土地神の存在を邪魔と判断すれば、無事では済まないかもしれません」

 悔しげではありましたが相手の正体も力も解らない以上、今は大人しくしているようにと頼みました。

「その前になんとかしてみるよ」

「よろしくお願いします」

 宮司は深々と頭を下げ、地域の安全と彼らの無事を祈った。




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