嘆きの断片

 住宅街にぽつんと構えられた店は遠慮がちに「裁縫屋」と書かれた看板が設置され、ガラス張りの扉から店内を伺うことが出来た。

 パーシヴァルが扉のガラス越しに中を覗くとそこは薄暗く、様子を確認するのは難しい。

 ──ゆっくりと扉を開き、店内に足を踏み入れる。さほど大きいとはいえない店舗には、手作りの商品が所狭しと並べられていた。

「なるほど。裁縫屋ね」

 パーシヴァルは並べられた商品を見回して納得した。

 丁寧にたたんで揃えられたワイシャツ、ハンガーにつり下げられたスカートとパンツ。女性用の服や布製のバッグや子供の玩具。ほつれた服などの修繕も受けているらしい。

 奥にはカウンターがあり、いるはずの店主の姿は見えない。ラクベスはふと、貝の形のストラップに目が留まる。
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