嘆きの断片
──長机とパイプイスが並ぶ、そっけない部屋に通されたラクベスたちは腰を掛けることもなく、要求したものが届けられるのを待っている。
データにも起こしてはいるが他の捜査資料を見られないためだと言われ、署員が紙の資料を探しに行ったのだ。
別の署員が二人にコーヒーとお茶菓子を届け、古い事件なのでもうしばらくかかると聞いて仕方なく腰を落とす。
処分されていないだけましだと、二人は紙コップに入れられたインスタントコーヒーを傾ける。
「おい。なんだって、あいつらに捜査資料を見せるんだよ」
男は二人のいる部屋の扉を睨みつけ、コーヒーを運んで出てきた後輩を呼び止める。
「俺にも解りませんよ。ただ──」
上からの命令だって。
「うえ? 署長がなんで」
「署長なら署長からだって言いますよ。そうじゃなくて、さらに上からだそうです」