嘆きの断片
「危険なレベルに達しています」

 早く止めなくては、取り返しのつかないことになる。

 このままでは、彼は人ではいられなくなる。

 人ではなくなることに、本人がどう思っているかは解らない。さておき、彼がまき散らす不幸に関係のない人々が飲み込まれているのだ。

 それを放置することは出来ない。

「怖いか?」

「いいえ」

「若いのに、度胸座ってるねえ」

 サポートが俺一人って不安にならないのかね普通。

「本来なら、お前さんの位置だともう一人、サポートは必要なんだぜ」

 いくらあんたが優秀だとしてもだ。いや、俺が優秀だから任されたっていうのもあるけどさ。

「そうですか」

「クールだねえ」

 常に冷静な判断を取れるかを組織は計っているんだろうが、俺の報告によっちゃあ、こいつはすぐにでも昇格するだろう。

 これは、そのための試験でもある。
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