嘆きの断片

 午前二時のあたりにさしかかった頃──

「んあ?」

 ふと目を覚ましたパーシヴァルは、覗き込む黒い影にぎょっとした。

「なんだ!?」

 慌てて飛び起きると、その影は窓からさっと逃げていく。部屋に残された、まとわりつく黒い意識は間違いなく石動だ。

「あいつ!」

 二人はバッグを手にし、取り急ぎ影を追った。

「すまん」

 まさか、あっちから来るとは思わず結界を張っていなかった。何かされる前に気付いて良かったが、これは失態だ。

「彼から姿を見せたのです。それで良しとしましょう」

 今は眼前の目的を第一に行動あるのみ。




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