嘆きの断片
──尾を引くように流れる影の痕跡は、男の住む町に続いている。残り香が消える前に追い詰めなければならない。
ここで見失えば、男はこの町から移動する可能性がある。被害は拡がり、いっそう捕まえる事が困難になる。
パーシヴァルとラクベスは、走りながら小型のヘッドセットを耳に装着した。
「公園に誘導します」
「頼む!」
二手に分かれて町の中を駆け抜ける。
この数日でほぼ全ての道は覚えた。移動する男の軌道を見つつ次にどう動くのかを予測し、二人はわざと靴音を響かせる。
<公園から西に二十>
ラクベスが伝えると、パーシヴァルは「東に到着した」と返した。少し荒くなった息を整えつつ、バッグから白い布を取り出して肩に羽織りラクベスからの合図を待つ。