嘆きの断片
──赤い瞳は、見下ろす碧の目の決意を感じ、若干だが気後れしていた。
「石動 春仁(いするぎ はるひと)」
ラクベスはゆっくりと男の名前を発し、バッグからマントを取り出して刺激しないようにとそれを羽織る。
本来なら、追い詰めているあいだにするはずの作業であったが影の動きがあまりに速く、その余裕がなかった。
ラクベスは己の不甲斐なさに奥歯を噛みしめる。
「相手は人間なんだろ? どうするんだよ」
「俺たちは人間相手にも訓練を受けている」
どうしてそんな訓練が必要なのかと、室田はパーシヴァルを見つめた。