嘆きの断片
「お前ら、訳がわかんねえよ」

 こいつが張った結界は、外からはまったく中が見えず、入ろうとする感情をその人間の心から排除するって、訳がわからない。

 おまけに、一人で公園全部を張ってるとか、どんだけ強力なんだよ。俺なんて、せいぜい自分の周り数メートルくらいで霊を閉じ込めるだけでしかない。

 根本的に次元が違いすぎる。今さらながら、自分の結界が弱いと言われたことに納得した。

「たまにいるんだよ。俺たちみたいな奴がな」

 強すぎる力は、大なり小なり周囲に影響を与える。周りと上手く馴染めず孤立し、道を外れてしまうこともある。

 それを避け、生まれ持った能力(ちから)をどう活かしていくのか──その結果が現在、室田が目にしている光景なのだ。
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