嘆きの断片
「邪魔、ヲ、スルナラ、殺ス」

「そう簡単にはいかない」

 ラクベスの顔つきがさらに変化した。髪と瞳は赤く、荒々しい気が放たれる。二体目の神霊を降ろしたのだ。

 室田でさえ、彼が強くなったと本能的に感じた。霊的なだけでなく、神聖なオーラがラクベスから強く放たれている。

「──っ」

 肌を刺すような痛みと痺れに、ラクベスは石動の憎しみの強さをひしひしと感じていた。

「ミンナ、死ネバ、イイ」

 魔物と化した石動から、どす黒い感情がラクベスに注がれる。




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