嘆きの断片
ラクベスの体力が心配だ。神霊を降ろすことは、それだけで体力を消耗する。

 とはいえ、ラクベスは他の霊媒士とは少々、毛色が異なっている。自分の知識だけでは、計りきれない部分があった。

 もどかしく思いながらも、パーシヴァルはそれを黙って見守るしかない。やはり、もう一人戦闘員を連れてくるべきだったかと慚愧(ざんき)に顔を歪ませる。

 調査員として、要請された内容を比較検討し動員する戦闘員の数を決める立場にありながら、なんたる不手際だ。

「今回、俺は失態ばかりで情けねえな」

 頭を抱える。

<問題はない>

 ヘッドセットからの声にラクベスを見やった。

「そう言ってくれるのは有り難いがよ」

<私では力不足だと?>

「そうは言ってねえ」
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