嘆きの断片
「何故だ。お前には関係ないだろう」

 どうして放って置いてくれない。

「あなたが起こしたことのような、理不尽な苦しみを背負う者を一人でも無くすために」

 私はそのためにこの力を持ち、使うのです。

 揺るぎない声色は、驚くほど冷静だ。

「あなたが苦しんでいるからと、他の人々まで不運となる必要がどこにあるのか」

 もっともな言葉だ。けれど、そういうことではないことも、ラクベスには解っている。

 それでもあえて、彼は正論をつきつける。どんなに否定しようとも、そこから逃げては何も始まらないからだ。

「誰が死のうと、世界は生きている者のために回らなければなりません」

 だからこそ、亡くした者を尊び慈しむことが重要です。
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