嘆きの断片
「明確な力の付与は、それなりの訓練が必要だ」

 そうでなければ上手く発揮されることはないだろう。

「あなたは、我々と同じ世界の人間です」

 強すぎた力の前に翻弄され、己自身をも傷つけていく。

 その先にあるのは、自滅の運命──それを止める方法のひとつをいま、あなたに提言(ていげん)します。

「それが、あなたの生き甲斐となるかは解りません」

 しかし我々には、あなたの力が必要です。

「何を、言っているんだ」

 今まで殺し合いをしていた相手に、何を奨(すす)めている。世界が不幸であれと願い、人ならざる者になろうとした人間に、人助けを手伝えだと?

 そう簡単に切り替えられれば、闇に墜ちたりなどしない。否、切り替えるきっかけが無かっただけなんだ。
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