嘆きの断片
 そう言ったパーシヴァルの右腕には、猫にでもひっかかれたようなミミズ腫れが何本か出来ていた。

 伽羅の香が護ってくれたのか、本来ならば切り裂かれていたかもしれない。

 彼らが追っている相手は、霊的な存在である幽体にすら傷を負わせる事が出来る物理的な存在だということだ。

 パーシヴァルは幽体が接触することで、対象の思考をある程度読むことが出来る。

 危険な方法ではあるものの、特定が困難な調査にはかかせない能力ではある。

「日本人の男。名前は、石動 春仁(いするぎ はるひと)」

「そこから辿れますね。ありがとうございます」

「これが俺の仕事」

 礼を言われることでもないと口角を吊り上げ、二本目の缶ビールを開けた。




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