キミは主人公。~短編恋愛集~
生徒会長のビターチョコ
冬の球技大会、2月14日。
私は、初めて“逆チョコ”というものを経験した。
「好きです。付き合ってください」
相手は、小学校から一緒にいる友達、
新崎 輝(シンザキ テル)。
世間一般から見たら、そこそこイケメンで、紳士レベルで優しいし、背も高い。
私と輝の話を、ちょっと長いけど、丁度去年の今頃。
私が生徒会長で、輝が副会長をしてた中学生の時までさかのぼって聞いて欲しい。
いつも輝の近くにいた私は、小学校、中学一年、二年と、輝が一個もチョコを貰ってないことを知ってた。
や、正確には、毎年私が、
「モテなくて可哀想な輝君に義理チョコどーぞー!」
「わー、美琴毎年ありがとうー」
ってスーパーで買った安いミルクチョコあげてたから、毎年一個は貰ってたか。
でも、去年の冬は、違った。
_________
「新崎君、これ…」
輝が小学生の頃から片想いしてた、学年のマドンナが、私の目の前で輝にチョコを渡した。
輝は、潔癖症気味なところがあって、人の作った物は食べられないのに、手作りチョコを受け取った。
私は何故か胸が痛くなって、その場を逃げ出した。