ずっと貴方が怖かった
からかわれてる?
この期に及んで今だイジられる私。
別にキスされるわけじゃないのに、どぎまぎする私。妙な不安と妙な胸の昂り。
「眼鏡駄目!見えない怖いーっ!」
手をぱたぱたする私。
戻される眼鏡で見えた間近の高木くん……やっぱ格好いー!遠くも近くも格好いー!
「さ、食お食お」
「ひっ!」
肩をぽんぽんされ、流されるままの私。
私の今のファッションはスーパーの二階で買ったメーカー不明のジーンズの裾を折り上げて穿き、アニメの名言集プリントの黒地Tシャツに無地のカーキ色のブラウスを羽織った姿。パンパンのリュックを背負い、画材店のロゴの入った紙袋を抱えた姿……。
高木くん、やっぱ恥ずいよ、これ?
貧弱な体を縮めながら賑わう店内に誘われる私。
……やっぱ、郊外の、クルマ主体のファミレスって、全部が全部じゃないけど、それなりの人達が多い。家族もいらっしゃるけど、お父さんタトゥーとか……。
私、気のせいか、二度見されてる。
「あらまき、何買い物してたの?」
席に着くなり差し向かいの高木くんが頬杖でニコニコしながら聞いてきた。