生物くんと、私。
第2章

心に空いた生物くんの隙間

〝今年もみどり祭、開幕です!〟

校内放送と共に盛り上がる生徒。

あれから何度も、何度も、生物室に行くけれど生物くんには会えないまま。

季節は平等に流れて、夏から秋になっていた。

今日は準備をしていた文化祭。

私たち、みどり高校の文化祭、その名もみどり祭は地域の人達が集まりすごい賑わいをみせる毎年恒例の一大イベント。

私たちのクラスの縁日も気合いを入れて準備をしてきた。

……今はハルが気合を入れてるんだけど。

「ほら!じっとしてて!男子なんだからビシッとしなさい!」

「いってぇ、山浦お前、力入れんなよ!」

「男でしょうがー!黙ってろ!」

今にも口から炎が出そうなハルと浴衣が苦しいという男子のやりとりが先程から繰り広げられている。

私たち女子は先に着替えていたからもう、準備は出来ている。

あとは数名の男子のみ。

「いよーし!準備出来てる人達!縁日、盛り上げていくぞー!」

「おー!」

すごい活気。

私は おー、とは言ったもののそこまで楽しみではない。

生物くんに会えないまま2ヶ月が過ぎようとしていた。

こんなに関わらなかったこと、あったっけ…





「いらっしゃいませ!」

「千夏、わたあめ!」

「了解!」

今年、縁日をやるのは私たちのクラスだけだから結構人が集まっている。

私はフランクフルトにケチャップをかける役だったのに人手が思ったよりも足りず、わたあめにフランクフルト、ヨーヨーすくい、射的などたくさんの所を走り回っていた。

体を動かせば生物くんを一瞬でも忘れられる。

生物くん…来てくれたりしたかな。

…来ても、わかんないか。

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