生物くんと、私。
〜生物くんside〜

「顕季、どこまわる?」

「どこでもいいよ…」



あの日。

高野に嫌われようと言ったあの日から。

高野には会っていない。

泣いて、いないだろうか。

笑えているだろうか…。



俺たちのクラスはかき氷を作る。

毎年、どこかと被るんだけど、今年はたくさんのクラスが被ったため、1クラスに絞ってうちのクラスが勝ち取った。

おかげでてんやわんやしていた。

高野には何を作るか伝えられなかったけど。




「顕季、行きたいところ、決まった!」

「どこ行くんだよ?」

「いいから!」

どこだろうと照について行く。

「ここ!」

着いた先は。

「てめっ!」

「縁日。俺好きなんだ〜!」

「俺は行かねぇぞ!」

「大丈夫だって!生物ちゃんいないよ!」

「わ、ちょ、押すなって!」

照に押されて入ってしまった…。

顔は知らないからバレてはないと思うけど声を発してしまえばバレてしまう。

焦って辺りを見渡した。

だけど。

「ね?いないでしょ?」

「…あぁ…」

照の言ってることは正しかった。

どこにも高野の姿はなかった。

嬉しいような、悲しいようななんとも言えない気持ちでいっぱいに。

「これで。良かったんだよな…」

どこか、会いたかった自分がいた。

会って、話すことは出来ないのに。
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