生物くんと、私。
~照side~

俺と顕季は小学校1年の夏に初めて出会った。




第一印象は〝細くてガリガリ 〟。

隣の家に引っ越してきたんだけど一言も話さないし、笑いもしないし。

なんだ、こいつ。

同じクラスになっても話そうとしないし、勉強もできないし。


正直、嫌いだったんだ。

なよなよしてるのとか、ハッキリしないやつってどうもダメで。


でも2年後のある日。

〝 バターン!〟

図工で粘土作りをしていた時。

いきなり顕季が倒れた。

しかも、座ってる状態からではなくて、歩いている最中に。

びっくりした。

本人の顔色は真っ青だし、それまで普通にしてて苦しがるとかなかったから。

先生が保健室に連れていったっきり、その日は帰ってこなかった。


心配になって家にまで行ったけど家には誰もいなくて。

次の日、来るだろうって。

来たらからかってやろうって。

そう思ってたけど。

次の日も。

またその次の日も。

顕季が来ることはなかった。



さすがに何かおかしい。

そう思って母親に聞いてみた。

そしたら、「顕季くん、入院してるのよ」って。

入院ってイマイチ分からなかった。

ただ、〝 帰ってこないかもしれない 〟それしか頭になかった。

< 36 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop