生物くんと、私。

ケチな生物くん

休み時間を迎えた教室に戻ってまず私がしたこと。

「ハル、ごめん。」

それはハルに謝ること。

「実は、失恋しちゃって。まだ整理がついてないんだ。」

「千夏…。」

「だからってハルに当たるなんて最低なんだけど…。ハルとはずっと友達でいたいから。本当ごめん。」

「許さない。」

…当たり前だ。

ハルにあんな態度とって。

自分の都合で傷つけたくせに。

仲直りしたいなんて。

許してくれなくて…当然だ。

「長谷川。好きな人がいたのにあんな態度とってたなんて。」

「ハル…?」

「それに自分もめっちゃ腹立つ、死ねばいい。聞かなくていいものを自分の興味本位で聞いて、千夏を傷つけて。最低だ。」

「待って、違うよ、ハルは悪くない、悪いのは私だから。」

「違うよ、私!」

ぷっ。

いつもこうだ。

ケンカしてもどっちも自分が悪いってゆうから最後には笑って終わっちゃうんだよね。

「ごめんね、千夏。大丈夫?」

お互い涙目になるまで笑う。

「ううん、こっちもごめん。大丈夫だよ。」

きっと。

心の奥底で繋がってるって。

誰が見てもわかるほど仲がいいと思う。




休み時間がすんでハルとバイバイして席についた。

「高野、大丈夫か?」

ー。

忘れてた。

そう言えば長谷川くんが隣だったんだ。

〝中途半端にするんじゃなくてきちんと蹴りつけろ。〟

生物くんに言われたことが頭に思い浮かぶ。

このまま関係を終わらせたくないって思うけど。

私を好きになることはきっと。来ない。

「ありがとう、大丈夫だよ。今日。放課後、ちょっと時間くれない?」

「ん?うん、わかった。」

蹴り。つけよう。

このままじゃ前に進めない。

気持ちよく背中を押してあげることも出来ない。

さようなら。

私の大切な恋。
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