朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
これ以上咲桜の女性賛美を聞きたくない。
こいつ、友達のことを天使とか思ってのか……。
桃子さんとのことは聞いたが、咲桜の生育過程に他になにかありそうな気がしてしまう。
例えばお隣とか。
強く抱きしめて、咲桜から力が抜けた頃、ようやく離した。
「うー……」
こてん、と俺の肩に咲桜の額が乗った。
「ったく……なんで女相手に妬かなきゃいけねんだ……」
ぶつぶつと呟く。本音だ。
「りゅうやくん……?」
聞こえたのか、咲桜が不思議そうな声音で呼んで来た。
「なんでもない。咲桜のマザコンはぶっ飛んだ方向にいったなーと」
咲桜の意識を自分に向けられたようなので、子どもにするように背中を撫でる。
「……わたしが好きなのは、流夜くんだけですよ?」
「………」
………やられた。
悔しいので反論してみる。