朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「レンはああいうの慣れてるからいいけどねー。ゼンがまた騒ぎそー」


「そういう人を、一族の反対押し切って嫁にしたんだろ、天科サンは」


「まあね。ゼン自身が傍系からの養子だから結構大変だったんだよー?」


「……最近どっかで似たような話を聞いた」
 

あちらは、本家から傍系へ養子に出されたそうだが。


「流夜、学生だよね? あの子」


「……一応」


「『華取』っていう、ネームバリュー負けしたの?」


「まさか。単に咲桜に惚れただけ」


「だろうねえ。名前負けなんかするお前だったら、あの子の方取ってるでしょ」


「あいつにはハナッから相手いましたよ? いなくても、そんな感情いだきませんが」


「まあねえ。怖いもんねえ、相手。今日は完全オフ?」


「そのつもりです。緊急があればあれが対応します」


「そうだろうけど……でもあの子、流夜とは専門違うんでしょ? またゼンに貸しとか作ったらどうするの」


「俺が留守の間でも天科サンに話はいかせません。所長と話詰めてきましたから」

< 113 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop