朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「レンはああいうの慣れてるからいいけどねー。ゼンがまた騒ぎそー」
「そういう人を、一族の反対押し切って嫁にしたんだろ、天科サンは」
「まあね。ゼン自身が傍系からの養子だから結構大変だったんだよー?」
「……最近どっかで似たような話を聞いた」
あちらは、本家から傍系へ養子に出されたそうだが。
「流夜、学生だよね? あの子」
「……一応」
「『華取』っていう、ネームバリュー負けしたの?」
「まさか。単に咲桜に惚れただけ」
「だろうねえ。名前負けなんかするお前だったら、あの子の方取ってるでしょ」
「あいつにはハナッから相手いましたよ? いなくても、そんな感情いだきませんが」
「まあねえ。怖いもんねえ、相手。今日は完全オフ?」
「そのつもりです。緊急があればあれが対応します」
「そうだろうけど……でもあの子、流夜とは専門違うんでしょ? またゼンに貸しとか作ったらどうするの」
「俺が留守の間でも天科サンに話はいかせません。所長と話詰めてきましたから」