朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「組織の中に置いてみるんだ。蒼は組織の中にあると、責任を負うタイプ。衛と二分していたとはいえ、初代Pクラスの統括やってたくらいだからな。みんなの面倒見て世話を焼くタイプ。反対に、流夜は責任とか全く無視するタイプ。ある程度の地位につけられても、そういうの丸無視で一人行動する。一人で全部解決する」


「あ、あー。なるほど」
 

レンの中ではっきりしなかった輪郭が、ぼんやりと見えて来たようだ。


「あとは、蒼は他人が大すきだけど、流夜は本質的に他人がキライってことかなー」


「……人?」
 

継いだ俺の説明に、レンは不思議そうな顔をした。


「『人』じゃなくて、『他人』ね。育った環境が違うからかな。身寄りがなかった身で、一方は施設の中で大勢に囲まれて育った。一方は親戚の家をたらい回し後一所に落ち着いた。でも人格形成は生育環境が総てかって言ったらそうじゃないよね。本質的なものだよ。ある程度はね」


「ひとがきらい……」
 

ね? と俺はゼンに目を向ける。ゼンは軽く肯いた。

< 119 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop