朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「組織の中に置いてみるんだ。蒼は組織の中にあると、責任を負うタイプ。衛と二分していたとはいえ、初代Pクラスの統括やってたくらいだからな。みんなの面倒見て世話を焼くタイプ。反対に、流夜は責任とか全く無視するタイプ。ある程度の地位につけられても、そういうの丸無視で一人行動する。一人で全部解決する」
「あ、あー。なるほど」
レンの中ではっきりしなかった輪郭が、ぼんやりと見えて来たようだ。
「あとは、蒼は他人が大すきだけど、流夜は本質的に他人がキライってことかなー」
「……人?」
継いだ俺の説明に、レンは不思議そうな顔をした。
「『人』じゃなくて、『他人』ね。育った環境が違うからかな。身寄りがなかった身で、一方は施設の中で大勢に囲まれて育った。一方は親戚の家をたらい回し後一所に落ち着いた。でも人格形成は生育環境が総てかって言ったらそうじゃないよね。本質的なものだよ。ある程度はね」
「ひとがきらい……」
ね? と俺はゼンに目を向ける。ゼンは軽く肯いた。