朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「へえ?」


「な、なんですかその笑い方は……」
 

咲桜の眉間に皺が寄る。


「いや? ちゃんとそういう風に思っててくれたんだなー、と」


「そういう風?」
 

咲桜の髪をかきまぜる。


「わからなければ考えろ。……仕事のことで在義さんに話すことあるから、待たせてもらってもいいか?」


「あ、うん」
 

はぐらかされたのを釈然としないらしい咲桜は、考え込んだ顔つきになった。


さっきの言い方から、俺として言質(げんち)を取った気持ちだ。


……こういう考え方なところが、俺は『事件頭』と言われてしまうんだろう。
 

咲桜はわからない顔つきのまま夕飯の支度にとりかかった。


在義さんからは《白》からの移動中にメールがあって、今日はもう本署を出たと言うことだ。


出来あがる頃には着くだろう。

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