朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
神宮流夜と神林蒼。一つ違いの二人。それぞれのグループの中心核。率いるタイプ。
ゼンの分のコーヒーを落としながら言う。
「けど流夜の場合――もし恋人と将来を望むなら、決定的に変わらないといけないよねー」
「変わる?」
オウム返しのレンに、「うん」と答えた。
「ゼンがレンと結婚するために、色々と天科の内部(なか)をとっ散らかしたみたいに、何かをね、変えて壊さないといけない。それが出来ないと、他人がキライなままで恋人と添い遂げるのは難しいと思うよ。特に流夜だし」
俺の言い方に、ゼンは渋面になった。
「変な評価をするな。そんなもん、なるようにしかならんだろう。お前がまだヤンキーひきずったままでいるみたいに。決定的に変わっていないのはお前だって一緒だ」
「俺はいいんだよー。今の自分がすきだからさー。変わる必要ナシだよ」
「堂々と言うな」
「いいのいいのー。それに俺は、雅(みやび)も、ゼンもレンがいるから老後の心配もないし」
何故いきなり老後……と呟いて、ゼンは片手で頭を押さえた。