朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「話が飛び過ぎだ、ケン。……雅が苦労ばかりするわけだ」


「俺に惚れられたのが運のつきだねー」
 

コーヒーを見ながら、磨いてあったカップを棚に仕舞う。


「ねえゼン。私に惚れてくれてんの?」


「………は?」
 

いきなりの妻(笑)からの問いかけに、ゼンは面喰った。


そんなことを訊く理由を知る俺は、二人に背を向けて軽く吹いた。


「流夜がさ、仏頂面の超不機嫌な顔しか見たことなかったんだけど、彼女と一緒だと常に楽しそうなんだよね。笑うし。ケンがそれを、べた惚れゆえって言うから……ゼンはどうなの?」
 

興味津々で訊かれて、ゼンは俺を睨みつけてきた。


あはは、俺が原因だってばれてる。


「お前はな――」
 

ぶに。


「いつになったら俺の嫁だっつー自覚出来んだアホ」

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