朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「んー、僕らは、って言うか、流夜と降渡って自分の命に否定的だからねー。なかなか踏み出しにくい話だね」
「え……で、ではこれっていらんお節介、だったりします……?」
吹雪さんの一言で、不安が頭をもたげてきた。
吹雪さんは誰より旧い流夜くんの友人なのだから、私の考え及ばないことも知っているはずだ。
「そんなことはないんじゃない? 僕らと咲桜ちゃんって立ち位置全然違うし。今は流夜、いい感じに命に肯定的だしね。咲桜ちゃんのおかげじゃない?」
「……そう、ですか?」
「たぶん、だけどね」
美麗な容姿に薄ら微笑を浮かべる。マナさんによく似た笑い方。
けれど、在義父さんの元相棒たるマナさんが太陽みたいな人なのとは違って、吹雪さんは名前通り淡雪みたいな人だ。
「龍さん何でも出来るよね。料理にお菓子にお茶に」
「まあ、一通りはひかるに教えられたからな」