朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


沈みそうになった空気を清浄するような声で吹雪さんが言った。


うつむき加減になってしまった私と笑満は顔をあげる。


「あ、はい。やっぱりお誕生日だったら、て」


「いいんじゃない? 八月一日って、夏休みだよね? あ、藤城だと補講とかあるの?」


「……あります。なので、お昼は補講に出て終わり次第仕上げをしていこうかと思ってます」


「ふーん。なかなか大変だね、恋人も。在義さんの許しさえ出れば、一日になった時間でお祝してあげるとかもいいよね。でもあの親バカさんが泊まりを許すわけないかー」


「………」
 

吹雪の言葉を咀嚼するために瞬間黙った。


一日になった瞬間。それは七月三十一日の夜から一緒にいるということ。


「………」
 

な、なんかとても素敵かもしれない……! 気がしてきた!


「笑満!」


「ん?」


「父さん説得してみる!」


「……へ?」

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