朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
『終わった。これから吹雪のとこだ。もらった弁当、美味かった』
「よかった。忙しいときは言ってね? わざわざうちに来てもらうのは大変だから。私のお弁当作るのは日常だから気にしないで」
このところ、私事の方が忙しいらしい。
学校から吹雪さんのところへ直で行くこともあるそうだから、学校に行った隙に夕ご飯用のお弁当を渡してきた。
『ありがとう。咲桜にちょっと訊きたいんだけど、今月の終わり――三十一日って、何か用事入ってるか?』
「えっ?」
ドキッとした。それはもう気合い入れてケーキ作ってる日だ。
「えと……補講終わってから、少しうちでやることはあるんだ。それが終わったらその――」
流夜くんの誕生日をお祝いしたい。
そう言いたいけど、何も言わないで驚かせたい気持ちもある。
「えと――」
『都合悪くなければ、時間空いたらこっち来てもらえないか?』