朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
side降渡
「降渡」
「あ、来てくれたんだー」
《白》の隅のカウンター席で、思わず顔がほころんだ。
俺は先日、ここで大喧嘩を披露した絆を待っていた。
絆は難しい顔をしている。龍さんに頭を下げてから、俺の隣に座った。
「仕事はいいの? 不良探偵」
「いや、絆まであいつらに影響受けなくていいから。ほんと真面目にやってるから」
「あんたが真面目なのは知ってるわよ。……そこでにやけるからツラの分台無しなのよ」
「ごめんなー。でも、咲桜ちゃんの名前出して来てくれるとは思わなかった」
「そりゃ、在義様の一人娘だもの。在義様の食事全般を握ってる子よ? なんかそれだけですごい子じゃない」
「うん、絆って俺ら以上の在義さん信者だよな」
「そんな子に――咲桜ちゃんに、何があったの? わたしが聞いてもいいの?」
「なんてゆーかさー。……絆、俺がネクタイしてないの、正直最初どう思った?」