朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「なにを?」
「………結婚しろって」
「言ったら肯いてくれるか?」
「………」
「絆が請けてくれそうなときにちゃんと言うから」
「そう言ってあんた、十五回失敗してんのよ?」
「十五回、絆が請けてくれない状況を知った、とも言う」
「そうへらへらしてるからよ。自業自得」
「そ? じゃあこれは本気で聴いてもらえる?」
「は―――?」
「 。 」
「―――――」
「これは生涯で絆しか知らない言葉だから。ありきたりでごめんなー。引き出しの少ない男で……絆?」
絆は、真っ赤になった顔を背けることも出来ないくらい沸騰している。
そんな顔が珍しくて、じーっと眺めていた。
「絆? 熱ある?」