朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
『愛してる。絆だけを』
『絆のこと、愛してる。ずっと一緒にいたいから、俺と結婚してください』
「ねえ、さっきの言葉、神宮たちは知らなくていいの?」
「絆にしか言わない言葉だって言ったろ? 絆だけ、特別だから」
特別。そう伝えると、絆はふっとうつむいた。
「わたしの特別だって、ずっと降渡よ?」
「……俺だって負けねーよ?」
「そんなに言うんなら、勝負でもする?」
「そうだな。――一生かかっても終わんねーたたかいだな」
顔をあげざまに、絆の唇が動くのが見えた。
やっと、あなたの心(こえ)を聞けた気がするわ。