朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
さっぱり自体の呑み込めなくて、恐る恐る訊いた。
流夜くんと吹雪さんはどこ吹く風で、のんびりしている。
「降渡は結構前から絆に結婚しようって言ってんだけど、絆が一向に肯かないんだ」
「まああの二人、正式に付き合ってるかって言ったら、それもびみょーなとこだしね」
「降渡はそのテンションなんだけど、絆がな」
……降渡さんがプロポーズしてるのに、絆さんが受けないってことだよね?
「……降渡さんの片想い?」
「いや、絆が好きなのも降渡。だからさっさと結婚すりゃいいのに」
……ややこしい。
「あの、止めなくていいの?」
「それが止まらないんだよねえ。僕らが下手に手ぇ出しても、火に油」
「降渡が折れるまで終わらないから、待ってたら結構経ったな。……ごめんな、すぐに知らせないで」
「ううん――私は大丈夫だけど――」
ざっと見回すと、龍生さんの姿もない。
「龍生さんは?」
流夜くんがお店の奥を指さした。