朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「頼に呼ばれた。俺も心配だったから先輩に訊いたんだけど、まあ……なんとか触法(しょくほう)ではないよ」
どういう口の濁し方ですか。
私の目が半眼になる。遙音先輩の登場で笑満の瞳はキラキラしている。
「いや先輩、触法って言い方を日常生活で使わないでくださいよ」
「咲桜の奴の方が日常非合法だろ。頼なんかまだまだだ」
「………」
返す言葉がない。た、確かにかもしれない……。
そんな言われ方する教師もどうだよと思うけど。
「あああの! さ! さっと行きましょう!」
遙音先輩を好奇の瞳で見るクラスメイトたちに気づいた笑満が、私の腕を摑んで先輩の背中を押した。
これ以上先輩を見てほしくない。……なんて思っているみたいだ。可愛い。
「で、部長、何やる?」
私が頼に、部活内容を丸投げされた。
「……あのね頼」
「咲桜のためでもあるんだから写真撮らせてな」
にっこり、また懐からカメラ取り出しやがった。迷わず渋面を作る。