朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


半分を彼女のために生きる? そう呟いた。


プロポーズにしては中途半端な決意に聞こえると、自分でも思う。


「諏訪山さんにそう言ったのかい?」


「いえ――……俺の人生全部で、お前のために生きるって言ったら、半分でいい、半分にまけなさい、て言われました……」


「? え?」


「絆は俺が学生だった頃から、今と同じことをしていたのを知っています。だから、半分は貫いて来た自分の生き方のために、今まで関わってきた人、これから関わっていく人のために生きなさいって言われました。……疲れたとか嫌になったとか言って、お二人と同じ世界で、生きていることを辞めたら離婚するって言われました……」


「「………」」
 

結婚前から離婚宣告された。


さすがに龍さんも驚いたのか、手を止めている。


ぽつりと「諏訪山の娘ちゃん、相変わらず過激だなあ」と呟いた。


「……そんくらいじゃないと降渡に惚れられないか」。そう言ったのは、俺に耳には届かなかった。
 

絆の声が甦る。

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